CADを使って初めてのガレージキット制作 その2


前回の記事:CADを使って初めてのガレージキット制作 その1


●連載第二回

前回、CADソフト『Fusion360』を始めると言って終ったんですが、その前にⅣ号戦車ロボの別タイプも同時に製作した方が効率的と気付いたので、先にそれをShade3Dで作りました。

IV号H型(ローポリ)です。

前回作ったIV号D型とは手足と下半身が共通のパーツになるので、二機同時進行で作っていきます。

グリグリ回してみた動画もどうぞ。


初めてのガレージキット制作なのに、こんなパーツ数が多そうなのを二つ同時に作って大丈夫だろうか…。


●CAD(Fusion360)を始める

前回、3Dプリンターで出力するメカを作るには、3DCGソフトよりCADの方が良さそうと書きましたが、あれからある程度CADを勉強してみて、改めてCADの方が良いと思いました。

3DCGとCADって、どちらもポリゴンデータを作るソフトなので、似たような物ではあるんだけど、用途は結構違うんです。


・3DCGはゲーム、映像用で、ハイポリもローポリも作れる。
 フィギュア等の柔らかい物を作るにはこっちじゃないと難しい。


・CADは製図や機械の設計用で、重いデータのハイポリしか作れない。
 3DCGのようにたくさん物を並べてシーンを作るのには向かない。
 基本的に硬い物を作る専門。


って感じです。
3DCGでもメカは作れるんだけど、3Dプリントする為のハイポリなメカはCADの方が楽に作れると感じました。
理由は色々あるけど、一番の理由はポリゴンの線の無いスッキリした表示で制作できることです。
3DCGでハイポリなデータを作ると、作業中の画面は線だらけになりますが、CADだと輪郭線を表示したトゥーンシェーディングのような画像にしかなりません(この後画像が出てきます)
これはもの凄い違いです。

まだ知らないことだらけなので何か間違ってるかもだけど、ネットを見ててもメカの原型は大体CADで作ってるみたいなんで、大丈夫かと思います。

※CADには平面図を作る2Dと立体図を作る3Dがあるので、ここで言ってるCADは正確には3DCADと言うんですが、だいたいみんなCADと言ってるので省略してます。


●ところで、CADってどんなの?

3DCGはゲームや映画でお馴染みの物なので、どうやって作るかはなんとなくみんな知ってると思うんだけど、CADがどんな物かはあまり知られてないんじゃないでしょうか?
と言う訳で、Fusion360での基本的な作業の流れを紹介します。
(※他のCADソフトとは違うかもしれません)

図(スケッチ)を描きます。
描くときはこんな3D表示では無く、2D表示になった画面で描きます。

スケッチの型をにゅーっと押し出して矢印形の立体が出来ました。

同じようにして円柱を作り、その形で矢印形をカットしました。
こうやって、スケッチを元に形を作り、それに形を足したり引いたりして複雑な立体を作っていくのが、Fusion360での基本的な作り方です。

3DCGには無いスケッチですが、これは最初に型を作る為だけの物では無いです。
上図は矢印のスケッチだけをいじったんですが、それに連動してスケッチから作った立体も変形しています。


3DCGをやってる人には、作り方が結構違うのが分かったかと思います。
あと、ブーリアンで形を作っていくことに不安を覚えたかもしれませんが、CADでは3DCGのようにブーリアンでポリゴンが欠けたり、非平面でエラーが出るようなことは無く、いくらでもブーリアンをやりたい放題です。
ちょっと感動しますよw


●勉強しながら作る

Fusion360の解説本とネットで勉強しながら、覚えたことを復習する為にロボットを作ってました。

まず最初は、超初歩的な機能だけを使って、バランスも考えずに雑に作ったロボット。
基本的な操作を覚えるため、単純な作業を繰り返す必要のある物を制作しました。
私はもうアラフィフなので、何度も繰り返さないと脳が憶えてくれないのですw

雑な物を作ってても面白くはないので、次は球体を変形させた形を組み合わせて、それなりに作品っぽい物を作ってみました。
大昔のSF映画に出てきそうな感じの戦闘用スーツです。
背中のハッチを開けて乗り込みます。

腕や股の付け根に線があって関節のように見えますが、これは体と滑らかに繋がってる構造なのが分かる為の編集用の線で、実際そこに線がある訳では無いです。
手足は継ぎ目もなく体に滑らかにくっ付いてて、関節はありません。

この少し後にレンダリング画像があるので確かめてみてください。

あと、曲面に添わせた文字を貼ったり、立体的に曲がったコードを作ることも覚えました。

次はよく分かんない変な二脚ロボ。
なんかチョコボールっぽいw

クチバシの部分は、戦闘スーツの時にやった球体を変形させる方法では作れない形なので、スケッチを組み合わせて丸いパーツを制作する難しい方法で作ってます。
よく分からないと思うけど。
口の線も難しかったです。
曲面に筋彫りを入れる方法が分からなくて、ネットで検索して覚えました。
(前の戦闘スーツのハッチの線は筋彫りではなくパーツを分割した線)
そして、足には関節を仕込んでフル可動にしています。


う〜ん…結構難しいことをやったのに、デザインのせいでそんな風に見えないのが悲しいw


●Fusion360でレンダリングしてみる

Fusion360にはレンダリング機能もあるので、戦闘スーツで試してみました。
機能が少ないオマケ的な物なんですが、凄く綺麗に撮影が出来ます。

被写界深度をいじったら背景が全部ぼやけるので、なんか足元が不自然。
でもそれ以外は凄く良いです。

この戦闘スーツ良いな〜。
僕はこうゆうアホみたいなメカが大好きです。
割と適当に作ったんだけど、凄く良いものが出来てしまいました。
なんだかこれを商品にしたくなってきたんだけど、売れないだろうな〜w


●ポリゴンデータをFusion360で表示

ポリゴンデータをFusion360に読み込む方法を覚えたので、Shadeで作ったIV号H型を読み込んで、戦闘スーツとは違う感じでレンダリングしてみました。
これまた凄く綺麗です。
ちょっとレジンっぽい色なので、ガレージキットが完成した時の状態が想像できて凄く嬉しい!

ゴールはまだ遥かに遠くだと思うんですが、うっすらと見えた気がしました。



さて、ここまで覚えた機能で、もう本番のCADデータが作れるような気がしてきました。
まだまだ色んな機能があると思うんだけど、長年やってる3DCGでも必要最低限の機能しか知らなかったりするんで、大丈夫な気がしてます。
次回からは、いよいよCADで戦車ロボを作り始める!
かな?


続く…。


続きの記事:CADを使って初めてのガレージキット制作 その3


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