時々ゲームの仕事を頂いている会社の人から背景画の仕事が多くあると聞いたので、サンプルを描きました。
一番需要がありそうなファンタジー世界の背景です。
僕のホームページを見ると分かるけど、SFばかりでファンタジーの絵をほんのちょっとしか描いてません。(2019年の時点で)
子供の頃はファンタジーというジャンルが大好きでした。
僕が最初に好きになったファンタジー作品は、1982年の映画『コナン・ザ・グレート』です。
主演は若い頃のアーノルド・シュワルツェネッガーで、出てくる人は基本的にマッチョで汗臭そうな野蛮人です。
当時はそんな感じが普通だったんだけど、その10年後にはもう今のアニメやゲームみたいな感じの、コナンとは正反対のビジュアルの方が普通になりました。
テレビゲームのRPGの影響で、ファンタジーのビジュアルも内容も急激にライトな傾向に変化して行ったんです。
それでファンタジーというジャンルは一般に広く浸透したんだけど、その急激な変化の中で僕のファンタジーへの興味は薄れてしまいました。
これは日本の話で、海外では現在もそれほど変化してません。
でも近年、CG技術の発達で『ロード・オブ・ザ・リング』や『ゲーム・オブ・スローンズ』と、骨太なファンタジー作品がまた作られるようになったことで、僕のファンタジーへの興味も復活しました!
そんな訳で、ちょっと童心に返ったような感じで背景画を描き始めました。
●アニメの背景画のように描く
ゲームの背景画の多くはアニメの背景画みたいな画風の物だと思うので、そうゆう風に描こうと思うんだけど、アニメの背景画は自分の絵柄とは違って、とても彩度が高く、輪郭がはっきりしている絵です。
作品によっては水彩風だったりするけど、基本的にはそうです。
背景をアニメ風に描いたことは一度も無いので、アニメの背景画集を買ってきて参考にしながら描きました。
もう46のおっさんだけど、まだまだ勉強ですよ(笑)
●ラフ
街の高台の階段から城が見えている絵にします。
このまま進むと城へ行けそうな感じです。
これは自分に背景がどの程度描けるかというサンプルの絵なので、多くの要素が入ってる内容にします。
近くと遠くの建物、城、山、湖、雲。
そしてパースと遠近感です。
まだいまいち完成形のイメージが頭の中に出来てないので、描きながらドンドン変えて行きます。
●とりあえず全体を描く
手前、真ん中、遠く、空とレイヤー分けをして、とりあえずバーっと全体をそれなりに描きました。
いきなり作業が進み過ぎとは思いますが、この間は特に書くことが無いので省略です。
う〜ん…なんか手前の屋根の角度に凄く違和感を感じる…。
ここだけ世界観に合ってない気がします。
ファンタジー世界の街並みを描くのに古いヨーロッパの建物を調べてみると、屋根の角度がもっと急でした。
家の建て方が変化して行くのか、時代が新しくなるほど角度が緩やかになってるみたい。
ここは描き直さないとダメです。
とりあえず描く、なんてことをするとこんな事になります。
最初にもっと資料を見て研究しましょう(笑)
イラストは基本的にPhotoshopだけで描いてるんですが、このパース線だけは専用ツールのあるクリップスタジオで引いてます。
Photoshopは元々写真加工用のソフトであって、絵を描くためのツールでは無いので、こうゆうことが苦手だったりするんですよね。
最近は機能が充実してきたけど、デジタルで描き始めた頃は絵を回転させながら描く機能も無かったので、その頃僕はペインターをメインで使ってました。
●使えるブラシ情報(しかし…)
石で出来た壁と地面はこんな感じのブラシを使って描きました。
ブラシは他人の著作物なので、そのまま紹介できません。
この画像は僕が真似て描いた物です。
これをサイズ調整しつつ、パースに沿いながら割と雑にポンポンとスタンプして行ったらここまであっという間に出来ちゃいました。
この後完成までにはこの上にかなり描き込んだので、あくまでも下地といった感じなんですが、かなり時間の短縮になります。
それでこのブラシをお勧めしたいところなんですが、ブラシライブラリを編集した為、名前が分からなくなってます。
海外のコンセプトアート系の人の無料ダウンロードブラシ集にあったと思うので、そうゆうのを検索して探せばどこかにあると思います。
なんかスミマセン…。
●キャラクターを加える
全体を書き込みつつ、特に手前の建物を描き直しました。
雲はなんか変だったので一から描き直しです。
まだザックリとした状態になってます。
背景がアニメ風になっているか分かり易くする為、セル画っぽく塗ったキャラクターを配置します。
そういえば、セル画風の絵というのも今まで描いたことが無かったです。
あれ?もしかしてセル画って単語は死語?若い人はセルが分からないかも。
昔のアニメは、セルという透明なシート(セルロイド製)に描いた絵を撮影して作られてました。
エルフの女戦士を一人置いてみたんですが、なんか寂しいです。
それに、なぜ一人でここに立ち、城を見ているのかよく分かりません。
もっと賑やかに仲間のキャラも描いて、RPGみたいな感じにした方が良さそうです。
描くの大変だけどね。
他のメンバーを配置する場所へ、大きさの参考にする為のコピーしたエルフを置いて行きます。
奥に行った時のサイズを測る為に新たなパース線を引いてますが、これくらいはPhotoshopで描いちゃいます。
戦士、魔法使い、ドワーフとオーソドックスなキャラを並べて、あとは絵的に全体のバランスをとる為にオオカミを加えます。
これで城に向かって進むパーティーという、RPGによくあるシチュエーションになりました。
リアルに考えると街の中にオオカミがいたらヤバイ気がしますが、これはゲームの絵なので問題無いのです(^ ^)
描くものは全て決まったので、後はとにかく描き込んで行きます!
●完成!
快晴を表現する為、影に空の反射の青色をたくさん入れてます。
やり過ぎてリアルじゃないかもですが、リアルでは無いセル画風の人物に合わせるには、やり過ぎくらいが丁度良いのではと思います。
あと、手前に降り注ぐ光を足しました。
これもオオカミ同様、絵のバランス取りの為の配置です。
キャラクターを非表示にするとこんな感じです。
●あとがき
なんとなく避けるようになってしまっていたファンタジーというジャンルですが、これを機にまた描いて行こうと思います。
でも次に描く背景の絵はSFかな?
ところで、完成した後に指摘されて気付いたんですが、キャラがロードス島戦記と被っちゃってます…。
女エルフだけじゃ足りなくてキャラを追加した時、ロード・オブ・ザ・リングを意識してオーソドックスなキャラを選んだんだけど、結果、ロードス島戦記になっていました…。
普通なら気付きそうな事だと思うんですが、ファンタジーから離れ過ぎてたせいか、全く気付きませんでした…。
やってしまった…これ気付いてたら絶対キャラ変更してました。
う〜ん……実はこれ、全キャラ女性なんです!なんて言い訳はどうかなぁ?(笑)
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